
僕らのファミリーキャンプ物語 vol.7 『森のサプライズ』
輝く太陽の下、澄んだ青空が広がる初夏の土曜日。
我が家4人は、緑豊かな山間のキャンプ場に到着しました。
清々しい空気が肺いっぱいに広がり、自然の香りが家族の心を癒します。
「さあ、みんな!エアーテントを立てるぞ!」
とお父さんが張り切っています。
タカシとミホは興奮して飛び跳ねながら、お父さんの指示に従ってテント設営を手伝います。
お母さんは微笑ましく見守りながら、快適な空間作りに取り掛かります。
テントが完成すると、お父さんが目を輝かせて宣言しました。
「今日は特別な料理を用意してるんだ!」
キャンプ用の鍋を取り出し、秘伝のレシピでシチュー作りを開始。
芳醇な香りが漂い始め、家族全員の期待が高まります。
夕暮れ時、完成したシチューを囲んで家族がキャンプファイヤーに集まった時、タカシが突然声を上げました。
「お父さん、見て!あそこに何かいるよ!」
振り返ると、一匹のたぬきが好奇心いっぱいの目で家族を見つめていました。
「まあ、なんて可愛いの!」ミホが歓声を上げます。
お父さんは優しく微笑み、
「きっとお腹が空いてるんだろうな」と言って、シチューを小さな皿に少し取り分け、そっとたぬきの近くに置きました。
警戒しながらも、たぬきは徐々に近づき、シチューを美味しそうに食べ始めました。
その愛らしい姿に、家族全員の心が温かくなります。
「たぬきも私たちのキャンプ仲間だね!」タカシが嬉しそうに言いました。
お母さんも優しく頷き、
「そうね。こういう小さな出来事が、キャンプの素晴らしさなのよ」と語りかけます。
夜が更けていく中、家族は星空の下で静かに過ごしました。
満腹になったたぬきは、少し離れた場所から家族の様子を見守っています。
「ねえ、もっと星を近くで見たい!」
と子供たちが提案し、家族で夜の森を探索することに。
ヘッドランプの明かりを頼りに、そっと森の中へ。
すると、たぬきが好奇心いっぱいに後をついてくるのに気づきました。
「たぬきも冒険が好きみたいね」
とお母さんが笑顔で言うと、皆の顔がほころびます。
静寂に包まれた森の中、虫の音だけが響きわたります。
突然、タカシが興奮した声を上げました。
「流れ星だ!見て!」
家族全員が息を呑んで夜空を見上げると、一筋の光が空を横切っていきました。
たぬきまでもが空を見上げているようで、この瞬間、自然と一体になった感覚に包まれました。
テントに戻ると、疲れた子供たちはすぐに眠りにつきました。
お父さんとお母さんは、小さな焚き火を囲みながら、静かに一日を振り返ります。
「今日は本当に特別な日だったわね」とお母さんがつぶやきました。
お父さんは深くうなずき、
「ああ、たぬきのおかげで、自然との繋がりをより深く感じられたよ。これからも、こうして家族で過ごす時間を大切にしていこう」
翌朝、たぬきの姿は見えませんでしたが、家族の心には温かな思い出として深く刻まれました。
この経験を通して、日頃の喧騒を忘れ、家族の絆がさらに深まったのです。
帰り道、タカシが期待を込めて尋ねました。
「次はいつキャンプに行けるの?」
お父さんは笑顔で答えます。
「できるだけ早く行こう。次はどんな冒険が待っているか、今から楽しみだな」
車窓から流れる景色を眺めながら、家族全員が次のキャンプを心待ちにしていました。
森の中の小さな出会いが、彼らの家族の物語に、かけがえのない1ページを加えたのです。