WEB MAGAZINE

20240710
Pocket
LINEで送る

僕らのファミリーキャンプ物語 vol.7 『森のサプライズ』

輝く太陽の下、澄んだ青空が広がる初夏の土曜日。

我が家4人は、緑豊かな山間のキャンプ場に到着しました。

清々しい空気が肺いっぱいに広がり、自然の香りが家族の心を癒します。

「さあ、みんな!エアーテントを立てるぞ!」

とお父さんが張り切っています。

タカシとミホは興奮して飛び跳ねながら、お父さんの指示に従ってテント設営を手伝います。

お母さんは微笑ましく見守りながら、快適な空間作りに取り掛かります。

テントが完成すると、お父さんが目を輝かせて宣言しました。

「今日は特別な料理を用意してるんだ!」

キャンプ用の鍋を取り出し、秘伝のレシピでシチュー作りを開始。

芳醇な香りが漂い始め、家族全員の期待が高まります。

夕暮れ時、完成したシチューを囲んで家族がキャンプファイヤーに集まった時、タカシが突然声を上げました。

「お父さん、見て!あそこに何かいるよ!」

振り返ると、一匹のたぬきが好奇心いっぱいの目で家族を見つめていました。

「まあ、なんて可愛いの!」ミホが歓声を上げます。

お父さんは優しく微笑み、

「きっとお腹が空いてるんだろうな」と言って、シチューを小さな皿に少し取り分け、そっとたぬきの近くに置きました。

警戒しながらも、たぬきは徐々に近づき、シチューを美味しそうに食べ始めました。

その愛らしい姿に、家族全員の心が温かくなります。

「たぬきも私たちのキャンプ仲間だね!」タカシが嬉しそうに言いました。

お母さんも優しく頷き、

「そうね。こういう小さな出来事が、キャンプの素晴らしさなのよ」と語りかけます。

夜が更けていく中、家族は星空の下で静かに過ごしました。

満腹になったたぬきは、少し離れた場所から家族の様子を見守っています。

「ねえ、もっと星を近くで見たい!」

と子供たちが提案し、家族で夜の森を探索することに。

ヘッドランプの明かりを頼りに、そっと森の中へ。

すると、たぬきが好奇心いっぱいに後をついてくるのに気づきました。

「たぬきも冒険が好きみたいね」

とお母さんが笑顔で言うと、皆の顔がほころびます。

静寂に包まれた森の中、虫の音だけが響きわたります。

突然、タカシが興奮した声を上げました。

「流れ星だ!見て!」

家族全員が息を呑んで夜空を見上げると、一筋の光が空を横切っていきました。

たぬきまでもが空を見上げているようで、この瞬間、自然と一体になった感覚に包まれました。

テントに戻ると、疲れた子供たちはすぐに眠りにつきました。

お父さんとお母さんは、小さな焚き火を囲みながら、静かに一日を振り返ります。

「今日は本当に特別な日だったわね」とお母さんがつぶやきました。

お父さんは深くうなずき、

「ああ、たぬきのおかげで、自然との繋がりをより深く感じられたよ。これからも、こうして家族で過ごす時間を大切にしていこう」

翌朝、たぬきの姿は見えませんでしたが、家族の心には温かな思い出として深く刻まれました。

この経験を通して、日頃の喧騒を忘れ、家族の絆がさらに深まったのです。

帰り道、タカシが期待を込めて尋ねました。

「次はいつキャンプに行けるの?」

お父さんは笑顔で答えます。

「できるだけ早く行こう。次はどんな冒険が待っているか、今から楽しみだな」

車窓から流れる景色を眺めながら、家族全員が次のキャンプを心待ちにしていました。

森の中の小さな出会いが、彼らの家族の物語に、かけがえのない1ページを加えたのです。

Pocket
LINEで送る