
僕らのファミリーキャンプ物語 vol.4 『すき焼きの忘れ物』
春の柔らかな日差しが降り注ぐ週末、私たち家族は久しぶりのキャンプに胸を躍らせていました。
お父さん、お母さん、息子のタカシ、娘のミホの4人。
自然の中で過ごす1泊2日のファミリーキャンプに、車の中はワクワクした空気に包まれています。
「今夜のすき焼きが楽しみだね!」
とタカシが嬉しそうに言うと、ミホも
「うん!お父さんのキャンプ料理、大好き!」と目を輝かせます。
我が家のファミキャンは、お父さんが家族のみんなをもてなすスタイル。
夕食も、日頃は料理なんて全くしないお父さんの担当だ。
キャンプ場に到着すると、お父さんとタカシはテント設営に取り掛かりました。
最新のエアーテントを使うことで、わずか数分で快適な寝床が完成です。
「すごい!こんなに早くできるなんて!」
とタカシが感心すると、お父さんは得意げに笑顔を見せました。
夕暮れ時、いよいよ待ちに待った夕食の準備。
ところが、お父さんが突然声を上げます。
「あれ?すき焼きの割り下がない!」
「買ったはずなのに…もしかして家に忘れてきたかも…」
とお父さんが困惑する。
キャンプ場は山奥で、最寄りのスーパーまでは車で30分以上かかる。
それにもう夕方だ。
一瞬の静寂の後、お母さんが優しく微笑みかけます。
「大丈夫よ。ここにある調味料で即席の割り下を作ってみましょう。」
お父さんは少し戸惑いながらも、「よし、挑戦してみよう!」と決意を新たにします。
タカシとミホも「私たちも手伝う!」と元気よく声を上げます。
家族4人で力を合わせ、砂糖と醤油のバランスを探りながら、即席の割り下づくりに挑戦。
少しずつ味見をしながら調整していくうちに、いつの間にか笑い声が溢れ始めます。
「これ、意外といい感じじゃない?」とお母さん。
「うん、なんだか冒険している気分!」とミホが楽しそうに答えます。
夕日が山の向こうに沈む頃、ついに即席割り下で作ったすき焼きが完成。
家族全員で鍋を囲み、期待と少しの不安を胸に一口。
「おお!これ、すごくおいしい!」タカシが驚きの声を上げます。
「本当だ!いつもと違う味だけど、なんだかスペシャルな感じ!」ミホも満面の笑みです。
お父さんとお母さんも顔を見合わせて笑います。
「失敗かと思ったけど、むしろ大成功だね。」
キャンプファイヤーを囲んだ後、星空の下でゆったりと過ごす家族。
タカシが「今日のすき焼き、忘れられない思い出になったね」とつぶやくと、みんなが頷きます。
帰り道、車の中でお母さんが「今回のキャンプ、とっても楽しかったわ」と笑顔で言いました。
お父さんも「うん、予想外のことがあったけど、それがかえって良かったな」と答えます。
タカシとミホは後部座席で「次はどんなキャンプになるんだろう」「楽しみだね!」と、もう次の冒険を夢見ています。
このキャンプで家族は、予期せぬ出来事を乗り越え、協力することの大切さと楽しさを再確認しました。
そして何より、家族の絆がさらに深まったことを実感したのです。
便利なキャンプ道具と家族の知恵と協力があれば、どんな状況も楽しい思い出に変えられる。
そんな大切な教訓を胸に、次なる冒険への期待を膨らませながら、私たち家族の帰路は続いていきました。