僕らのファミリーキャンプ物語 vol.6 『星空の下の家族の絆』
夏休み初日の朝、我が家は今週末もキャンプに向けて出発しました。
お父さん、お母さん、8歳の息子タカシ、5歳の娘ミホ。
普段は仕事に追われるお父さんが、キャンプではいつも家族のためにすべてを準備します。
キャンプ場に到着すると、お父さんはいつも通りエアーテントを設営します。
「パパ、僕も手伝う!」
今日はタカシがエアーポンプで空気を注入します。
お父さんとタカシが力を合わせ、素早くテントが完成。
達成感に満ちた笑顔が、互いの顔に広がりました。
夕方、お父さんは特製のカレーを作ろうと奮闘します。
しかし、玉ねぎを切っているうちに涙が止まらなくなってしまいました。
「パパ、大丈夫?」とミホが不安そうに聞きます。
「大丈夫だよ。パパね、玉ねぎが強すぎて…」とお父さんが笑いながら答えます。
その姿を見たタカシが「パパ、僕が切るよ!」と勇んで言いだしました。
お母さんは「危ないわよ」と心配しますが、お父さんは「大丈夫、教えながらやってみよう」と息子を励まします。
慎重にナイフを持つタカシ。
お父さんが後ろから優しく手を添えて指導します。
二人で協力して玉ねぎを切り終えたとき、タカシの顔には誇らしい表情が浮かんでいました。
夜になり、いよいよお父さん特製のカレーの完成です。
見た目は少し不格好ですが、家族全員で一口食べると…
「わあ、おいしい!」ミホが目を輝かせます。
「パパ、これ本当に自分で作ったの?」とタカシも驚いた様子。
お母さんも「これ本当においしいわ」と心からの称賛を述べます。
お父さんは照れくさそうに
「みんなで作ったからおいしくなったんだよ」と答えます。
家族の協力があってこその成功に、お父さんは心から感謝していました。
食事の後、家族は焚き火を囲んで座りました。
マシュマロを焼きながら、静かな時間が流れます。
突然、ミホが「あっ!」と声を上げました。
空を見上げると、流れ星が一筋、夜空を横切っていきます。
「みんなで願い事をしよう」とお母さんが提案します。
家族4人は目を閉じ、それぞれの願いを心に描きます。
お父さんは「これからもっと家族と時間を過ごせますように」と願いました。
目を開けると、ミホが不安そうな顔で健太を見上げています。
「パパ、ミホね、『パパがもっと家にいられますように』ってお願いしたの…ダメ?」
その言葉に、お父さんの心に強い衝撃が走りました。
仕事に追われ、家族との時間が少なかったことを痛感します。
お父さんはミホを優しく抱きしめ、
「ありがとう、ミホ。パパ、これからはもっと家族と過ごす時間を作るよ」
と約束しました。
タカシも「パパ、約束だよ」と真剣な顔で言います。
お母さんも目に涙を浮かべながら、お父さんの手を握りました。
星空の下、家族の絆が一層深まったその瞬間、お父さんは人生で最も大切なものに気づいたのでした。
翌朝、お父さんは誰よりも早く起き、朝食の準備を始めます。
パンケーキを焼こうとしますが、最初の一枚は真っ黒に。
しかし、諦めずに挑戦し続けます。
家族が目を覚ますころには、少し歪な形ですが、おいしそうなパンケーキが完成していました。
「わあ、パパすごい!」とミホが喜びます。
「へへ、まだまだだけど、これからも頑張るよ」とお父さんが答えます。
朝食を囲みながら、家族は昨日の思い出話に花を咲かせます。
お父さんは、この瞬間こそが最高の幸せだと感じていました。
キャンプの片付けを終え、帰路に着く前、お父さんは家族に向かって言いました。
「みんな、このキャンプで大切なことを教えてくれてありがとう。これからは、もっと家族との時間を大切にするよ」
車に乗り込む家族の顔には、幸せな笑顔が広がっていました。
お父さんは心に誓います。
このキャンプでの気づきを、日常生活でも実践していくことを。
我が家の夏休みの思い出は、単なるキャンプの記憶ではなく、家族の絆を再確認し、新たな決意を生み出す、かけがえのない経験となったのでした。